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○水曜日終日休診のお知らせ

2017年6月より、これまでの土曜午後、日曜祝日に加え、水曜日休診と致します。ご迷惑をおかけした患者さんにはお詫び申し上げます。

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○パイプカットには現在対応していません

現在パイプカット、包皮環状切除術には対応しておりません。お問い合わせをいただいた患者さん、来院いただいたのに対応できず、ご迷惑をかけた患者さんにはお詫びもうしあげます。

KPM


説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\noguchi\Documents\HP\kpm 0011.jpg 行きつけの骨董店に以前から2枚のKPMの陶板があった。1枚はフランス女性、もう一枚はドイツ女性を描いたものである。以前から、とても優しげで清楚な感じのフランス女性が気になっていた。しかしKPMは陶板の中でも群を抜いて高い。高嶺の花と思っていたが、意を決して値段を聞いてみると、KPMとしては破格に安い。「金は天下の回り物、まぁ、何とかなるだろう」と、手金を打った。

 その次にお店に行ってみると、ドイツ女性の方にも売約済みの札が貼ってある。店長さんに「あれも売れたんですね」というと、「ええっ、あれが先生のです」と言う。フランス女性の方は随分前に売約となり、売約済みの札が貼ってあったのだが、購入された方が写真を撮るために、その札を外してしまったとのこと。ちょっとした行き違いであったが、これもご縁とドイツ女性の方をそのまま買うことにした。

 ドイツ女性はちょっときつい感じで、あまり好みではなかったことは確かだった。しかしその後何度か通って、しげしげと見るうちに、そのドイツ女性が僕に微笑みかけるようになったではないか。そして好みだったはずのフランス女性が、ツンとした感じになってきたではないか。陶板に描かれた女性が変わるはずもない。変わったのは間違いなく自分の方である。同じ陶板を見ても、心の持ち方でこれほど印象が変わる。

 絶対に変わることのない陶板を相手にしてですら、こうである。これを医者と患者に置き換えれば、もはやどうにもならぬ。医者も患者もお互い、どんどん変わるからである。しかしどちらが陶板であらねばならぬかと言えば、それは間違いなく医者の方である。その意味で医者には安定した人格が要求される。さて自分はどうか・・・。

 この話には後日談がある。僕が魅かれたフランス女性は、子供のころに父親にレイプされ、その後自分の情夫を使って父親を殺させ、最後は自らも断頭台の露と消えたというのである。陶板に描かれた女性の本性も見抜けない僕が、生身の女性の本性を見抜くことなどできるわけがないではないか。陶板のドイツ女性は、僕にしか聞こえない声で、こう語りかける。「あなたって本当に女を見る目がないのね」と・・・。
(
2007年11月5日)

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○モバードの時計

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\noguchi\Documents\HP\movado1.jpg モバードのムーンフェイズ付きトリプルカレンダーが、縁あって僕のところに来ました。モバードは非常に技術力の高いメーカーで、手巻き、ハーフローターの自動巻き、フルローターの自動巻き、トリプルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフなど、すべてのキャリバーを自社で生産していました。実はすべてのキャリバーを自社で作るということはコスト的にも、技術的にも大変なこと。たとえばロレックスにはハーフローターの自動巻きがなく、あのオメガですらクロノグラフはレマニア、バルジューなどのキャリバーをつかっていたのです。(ロレックスファン、オメガファンの怒りを招かないようにいっておきますが、良いものを安く供給するためには、これが当たり前のことでした。誤解のないように。)

 外観からはわかりませんが、モバードのカレンドマチックという自動巻きのトリプルカレンダーは、月の表示まで自動的に変わる。普通のトリプルカレンダーは月の表示は、月が変わったときに、プッシュボタンで押さないと変わりません。ですからカレンドマチックは永久カレンダーに一歩近づいた時計といえるのです。

モバードは機構的に優れていただけでなく、外観も極めてユニークな時計も作っていました。1920年代にはポリプランという、手首のアーチに沿うように、時計全体がカーブした時計を作っています。時計全体がカーブした時計には、他社でもグリュエンのカーベックスなどがありますが、ポリプランのすごいところは、外観に合わせて基盤まで曲げてしまったということ。また1940年代にはエルメトという半自動巻きの懐中時計(purse watch)を作っています。これはケースの蓋を開け閉めすることで、ぜんまいが巻き上がる機構を備えています。またごく普通の手巻き時計でも、モバードの輪列(歯車の並び)は、他社のものとは違い、とても魅力的。

 こんな技術力が高く、ユニークなモバードの時計を、以前から欲しいと思っていたのですが、どういうわけかずっとご縁がありませんでした。行きつけのお店にも、何本かモバードの時計があります。その中でもミントコンディションのムーンフェイズのトリプルカレンダーは、実に魅力的。でもお値段も立派で、行くたびによだれを垂らしながら見ていました。

 ある日お店に行ってみると、いとしのムーンフェイズのトリプルカレンダーが、売約済みになっていました。「あぁ、売れちゃった・・・」。アンティークの難しいところは、同じものが二つとないところ。売れてしまったら、もうありません。半分安心したような、半分残念なような気持ちで帰りました。

 しばらくしてまたお店に行ってみると、ムーンフェイズのトリプルカレンダーがショーケースの中に戻っているではありませんか。「どうしたんですか」と聞くと、「キャンセルになってしまいまして。でも別の方からの問い合わせがありまして」とのこと。もうそうなったら止まりません。今を逃したらこの時計はもう二度と手に入らないでしょう。後先考えずに「取っておいてください」。それからちょっとずつお金を払って、このたびとうとう僕のコレクションになりました。

 アンティークの収集を始めてわかったことは、「物が持ち主を選ぶことがある」ということ。どんなに欲しいと思っていても、ご縁のない時計は手に入りません。でもご縁のある時計は今回のように、一度嫁入りしかけても破談になって、結局僕のものになってくれます。ただそれには一つ条件がある。それはお店の人と良い人間関係をつくっておくことが、絶対に必要だということです。

プロの知識、物の価値を見抜く眼は、我々アマチュアとはレベルが違います。アマチュアの知識はしょせん本や雑誌などからの知識、プロの知識は実際に物に当たった知識です。プロとても、時には価値のないものを仕入れてしまうこともあるでしょう。特にアンティークではそのリスクは高い。でもそういう価値のないものを仕入れてしまったら、それはすべてお店の経営に響いてきます。言い換えれば、プロの知識にはお金、すなわち生活がかかっているのです。それに比べればアマチュアの知識は、あくまで趣味の世界。生活がかかっていないのです。このようなプロと良い人間関係を作っておくことが、本当に良いものを手に入れるコツ。結果お店の人も、さりげなく良い物を勧めてくれる、良いご縁を作ってくださるといってもいいでしょう。

お店で見ていても、値段ばかりいうお客さんや、自分の知識をひけらかすようなお客さんは、結局良いものは、手に入れていないようです。プロショップといわれるところでは、値段の交渉をするより情報、知識をもらうほうがいい。僕はそう思います。

 「世界の腕時計、特に太安堂本店店主、栗崎健一さんの記事」、「Wrist Watch Price Guide」などを参考にしました。(2007年10月30日)

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○イメージを伝えることの難しさ
 今年の夏は暑かったですね。でもそろそろ雪の便りも聞かれる頃となりました。ちょっと季節外れの原稿ですが、先々シーズンの終わりに書いた原稿です。

 今自宅に庭の沈丁花が満開、例年この花の香りをかぐと「ああ、スキーシーズンもおわってしまったなぁ。」と思います。今シーズンは1月3〜5日、2月10〜12日、3月19〜21日と10日間滑りました。2月の始めに次男が自転車で転倒、腕を骨折したので、2月は長男と二人旅、3月は長男と僕の一番下の弟との3人旅でした。

 スキー歴は僕が45年、弟が40年、長男が10年と、長いことは長い。でも「やっぱり歳だなぁ・・・。」ということを、だんだん強く感じるようになってきたのが哀しい。朝風呂に入って体を温めてから、カプサイシン入りのマッサージクリームを膝、腰を中心に塗りたくる。それでは足りずに実際滑る時には、腰に保護のベルトを巻くという状態です。

 それでも経験なのか、オヤジのど根性なのか(これを年寄りの冷や水というんでしょうね)、1日は何とか滑ってこられる。それでも1日滑ってくると、膝は痛い、腰は痛い、太腿はパンパン、ふくらはぎもパンパン。まあカービングスキーという横ずれしないスキーを履いているせいもあるんでしょうが、1〜3月と自転車をサボって、4kgも太ってしまった事も大きいようです。でも夜は大変。風呂に入って体を温めて、アフタースポーツ用のマッサージクリームを塗りたくり、ストレッチ。それでも足りずに長男に頼んで(脅かして)、腰、ふくらはぎを揉んでもらわないといけません。「前はこんなことなかったのに・・・。」と思うことしきりです。

 でも悪いことばかりではありません。毎年毎年、何か新しい発見があります。自分の中の滑りに対するイメージもが、毎シーズン、毎シーズン変わってきています。ちょっとした腕や脚の開き具合を変えただけで、ずっと安定して滑れます。スキーは自然の中のスポーツ、天候、雪質によって、1本1本の滑りは毎回全て違うので、その腕や脚の開きでいつもいつもうまく滑れるわけではない。だから面白いともいえるし、これだけ長くやってきてもまだまだうまく滑れないのでしょう。

 45年もやっていると、どんな斜面でもそれなりに滑れます。でも数年前から、自分で滑っていても「どうも違う」、「なにか違う」という感じがはありました。こんな時にはレッスンを受けるのが一番の早道。学生時代には万座スキースクールでよくレッスンを受けたものですが、齢50を過ぎると、「今さらスキースクールかぁ・・・。」という感じが抜けません。子供達にアドバイスを求めるのは、まだちょっとムリ。まぁ歳を口実に逃げていると言われれば、その通りなんですが・・・。

 さて3月のスキーは最初に書いたように弟と一緒でした。弟はいまだにスキースクールに入ってレッスンを受けるほどのスキーフリーク。「何かアドバイスを」と、弟と一緒に滑る事を楽しみにしていました。まるまる3日間一緒に滑ったのですが、弟も僕の滑りを見て何か違うと感じたのでしょう。いくつかアドバイスをくれました。53歳なっても、その昔それこそイヤになるほどやった横滑り、山回りなどの基礎練習の遺産がいまだに残っているのか、言われたこと一つ一つはそれなりにできる。でも、自分の中の滑りのイメージが変わらない。

 弟は言葉はもちろん、フォームを直してくれたり、先に滑って見本を示してくれたりするんですが、なかなかイメージが伝わらない。腕の構えや、立ち上がる方向、脚の開き具合などなど、動きを細切れにして、イメージを伝えようとしてくれるんですが、なかなか伝わらない。2日目の午後に思い切って開脚にして滑ってみたところ、谷スキーがレールに乗ったようにスウッと走りました。これは今までに感じたことのない感覚でした。下で見ていた弟が、「今の滑り良かったよ。」と言ってくれ、長男も「お父さん、滑り変わったね。」と言ってくれたので、「あぁ、この感覚を伝えたかったんだ。」と判りました。それからもこの感覚で滑れることもあるし、滑れない時もありましたが、この感覚の時には上体もリラックスできるし、安定もしていました。

 その時に感じたのは、弟が僕の滑りについて直したほうがよいと思われることを伝えること、イメージを伝えることの難しさでした。もっといえば「言葉でイメージを伝えることは不可能なんじゃないか」ということでした。そして僕にそのイメージが伝わったとしても、そのイメージを自分の滑りの中に取り入れ、自分の中の感覚にして使えるようにしなければなんにもなりません。

 「ネットで調べたら、この病気だった。」と言って来院される患者さんが、最近増えてきました。まぁ、患者さんの(自己)診断が当たっている時もあるし、当たっていない時もあります。当たっている時は患者さんは満足されますが、当たっていない時、それを指摘されるとどうも不満に思われるようです。でもネットに載るような情報は、きれいに整理された情報でしょう。きれいに整理された情報しかネット上には載せることができないといったほうが良いかもしれません。でも病気(人間といってもいいかも知れません)というのはもうちょっと複雑で、きれいに整理できないもののようです。

 例えば「排尿痛、頻尿、残尿感があって、おしっこも濁っている」というきれいに整理された典型例なら、誰でも急性膀胱炎と診断できる。でも排尿痛、頻尿、残尿感はあるが、おしっこが濁っていない時に医者はどう考えるか。患者さんの単なる気のせいなのか、それともすでに抗生物質を飲んでしまったあとなのか。それをいちいち丁寧に問いただしていく。「夜何回もおしっこに起きる」といわれたときに、「前立腺肥大症でしょう」といって薬を出すのは実に簡単なこと。でも本当にそうか。寝る前にたくさん水分を摂取しているかもしれないし、眠り自体が浅いのかもしれない。7時ごろから寝ている生活習慣の患者さんかもしれない。それを医者の自分が持っている知識と、これまでの経験に照らし合わせて、いちいち丁寧に診ていく。そして検査でいちいち検証していく。そしてその時の患者さんに一番良いと思われる治療を、精一杯やっていく。それが臨床というもののような気がします。

 1000人のうち999人に有効な治療でも、患者さんがそうでない1人であれば、999人に有効だった治療は、その患者さんにとって何の意味もない。ネットに載る情報というのはどうも999人に有効な情報のような気がします。それはスキーという運動を腕、腰、脚と細切れにして説明しても、イメージが伝わらなかったのと同じで、きれいに整理された情報から患者さんの困ってみえることをイメージすることは難しい。治療法を決めることは難しい。結局診せてもらうしかない、そんなことを感じたスキー行でした。

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○趣味の事は・・・

 今年の夏は特に暑いですね。でも書店に行けば、もうスキーの季刊誌が並んでいます。9月1日にはお正月の宿の手配もしないといけません。この歳になるとさすがにソワソワはしませんが、ボチボチ今シーズンの作戦を考え始める時期でもあります。

 何年か前に某スキー専門誌に、ゲレンデ食堂での出来事についての記事がありました。編集長の署名入りの記事だったと思います。「中年のオッサンが流行遅れのスキーウエアを着て、時代遅れのブーツをはいて、一心に昼ごはんを食べている。その隣でスノーボーダーが流行のウエアを着て格好よく食事をしている。そのオッサンの奥さんや子供は流行のウエアを着ているから、自分のウエアやスキー道具まで手当てする事ができなかったんだろうけど、自分の趣味はもっと大切にしようよ。あれじゃ、若者がスキーをやらずにボードに流れてしまうよ。」という要旨の記事でした。何年も前の記事で、多少記憶に曖昧なところがありますが、お許し下さい。

 いやぁ、他人の事ながら腹が立ちましたね。趣味の事は他人に迷惑をかけない限り、他人からとやかく言われることはない。確かにしゃもじのようなカービングスキー全盛で、昔の竹やりのようなスキーを見ると違和感がある。でも2本の板で斜面を滑り降りる楽しさには、しゃもじだろうと竹やりだろうと、なんら変わりはないはず。お天気の良い時にフラットなバーンを飛ばす楽しみと、吹雪の中で鼻水たらしながら滑る楽しみとは本質的に変わらないはず。
 
 それに家族でスキーに行くという時の宿の手配、往復の車の運転など、オヤジにかかる負担の大きさ。もちろん経済的負担もある。うちも子供の成長に合わせて、ここ数年毎年のように子供の道具、ウエアの買い替えをしました。当然僕や女房の買い替えは後回し。一昨年やっと僕のウエアの買い替えを、昨年女房のウエアの買い替えができました。限られた予算を道具に使うという選択肢もあるし、一日でも多く滑るという選択肢もあるはず。僕個人としては後者の方が好きです。

 その雑誌は僕のマイ・フェイバリットともいえる雑誌で何十年来の読者でしたが、その記事以降、キッパリと購読をやめました。

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○手信号
 夜間に使う事もあるシクロクロス車には、ヘッドライトと尾灯はキッチリつけてありますが、休みの日にしか使わないロードレーサーには走るため以外のものは一切つけていません。これに乗る時、自分の意思を他のドライバーに伝える手段は手信号だけ。右折や左折の時、対向車に待って欲しい時、あるいは先に行って欲しい時などは手信号を使います。

 この時ドライバーが僕の存在に気がついてくれたか、僕の出した信号を確認してくれたかどうかは、相手の目を見るしかありません。アイ・コンタクトといっても良いでしょう。相手が待ってくれた時などには軽く手を挙げて感謝の手信号を送るようにしてますが、交差点などではハンドルから手を離すのが恐い時もある。その時はちょっと頭を下げます。

 これは外来でも同じ。患者さんが何で困ってみえて僕に何を希望してみえるかを問診の形でお尋ねするわけですが、患者さんに満足してもらえる医療をするには、それだけでは不十分。患者さんが言葉で訴えられたこと以外に、どのような
信号を出しているかを、見落とさないようにしないといけません。しかし時に患者さんの出している信号が読み取れない事があります。信号に全く気づかないこともあるし、何か信号を出してみえるのにそれがよく分からないということもあります。そんな時はちゃんと診療したつもりでも、何か満足できません。もちろん患者さんも不満を抱えたままお帰りになったでしょう。患者さんが何度か再診され、お互いの人間関係ができれば、「ああそういう信号だったのか!」という事もあります。これが医療の難しいところなんでしょう。

 ところで最近フロントガラスや運転席、助手席のガラスに真っ黒なスモークを張っている車があります。これはドライバーの意思を読む事ができず本当に恐い。まあそんな車からは剣呑な雰囲気がプンプンしますから、「絶対に待ってはくれ
ない」、「絶対に突っ込んでくる」と思うようにしています。そんな時はその車をやり過ごしてから、中指を立てるという下品な手信号を送ります。

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エピローグ
 僕は頭から足の先までドロだらけ、新車だったバイクもドロだらけですが、パンクもメカトラも一切なく、よく走ってくれました。相棒に感謝。自分のドロは後回しにして、相棒の洗車をしました。家族は「骨折をした人がいた。」とか「脱水で救急車が来た。」とかで、随分心配したようです。トップは5時間36分(!!!)で帰ってきたと、子供達が教えてくれました。トップは名古屋の人らしいんですが、ぼくから見れば神様です。あのコースを平均20kmで登りきる剛脚と、ダウンヒルでの剛腕にはもう言葉もありません。

 「明日は、今日一日心配をかけた家族と一緒にすごそう。」と思い、日曜日のラン20kmの出走は取りやめることにしました。でもTシャツだけは欲しいので(ケチ)、急いで公民館での受付をしました。

 宿にもどってバイクをしまったあとに、ドロドロのジャージ、ソックスを脱ぎ、風呂。顔、腕、脚などの露出部はしっかり火膨れになってしまいました。風呂のあとはもちろんビール、ビール、ビール。ああ生きて帰ってこれたぁ。 夕食は地鶏の水炊きでしたが、しっかり食べることができました。こういうメニューの方が僕にはあっているようです。しかし12時間近くも動き続けた後によく食べることができますね。「明日はどうしたい?」と子供達に訊くと「遊びたい。」と言うので、久しぶりに野麦峠スキー場のペンションを訪れ、ちかくの公園で遊ぶことにしました。その日はビールの酔いと疲れとで、9時頃にはもう寝てしまいました。

 22日の日曜日も快晴。ラン用のチップを返却してから、一路19号線を薮原に向かいます。車がこんな楽なものなんて・・・。薮原から境峠を越えると野麦峠スキー場です。この境峠は4年前に子供達とMTBで越えたことがあります。長男が2年生、次男は1年生でした。「覚えているか?」と訊くと「覚えている。」と言いますが、「もう一回やる。」とは言いませんね。オトーサンとはサビシイものです。

 ペンションについて挨拶をすると、オーナーが「まあ、大きくなって。」そりゃ3年ぶりですから・・・。コーヒーをご馳走になりながら、お互いの現況報告。オーナーは3年前にご主人を亡くされているのですが、気丈な方ですからペンションの経営は順調なようでした。

 40分くらいでお暇して、近くのフォレスト・フィールドに遊びに行くと、ちょうどMTBのレースをやっていました。昨日のジゴクを思い出しながら、暫し見物。昨日ホントに辛かったのは「ここでリタイヤしても救助車が来るんだろうか?」という不安でした。でもこういうクローズドのコースでは、その心配はないですね。「誰かに見てもらっている。」ということは、それだけでもありがたいものです。

 その後キャッチ・ボール、バドミントン、ブーメランで汗だく。12時過ぎまで遊んで、子供達も満足したので帰ることにしました。寝覚ノ床の近くの「越前屋」という店でソバの昼飯。自宅には4時頃につきました。
 
 ああ、無事に帰ってきたぁ・・・。

 どうも駄文に長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。「48歳のオヤジが完走の感激の余り」と笑ってやってください。


追伸:月曜日の昼休み、MTBを整備にだしました。ブロック・タイヤがもげてしまっていて、中のカーカスが露出していましたので、これは交換。後は増し締めを依頼しました。終わった直後はMTBには乗りたくなかったんですが、3日経った今、 「来年はどうしよう」と思い始めている自分がコワイ・・・。


その後 
8月20日頃に結果が送られてきました。完走者325人でした。参加者が何人だったかが判らないのですが、完走率はどの位だったのでしょう。

 トップは5:36:07、完走者のラスト(325位)は12:41:12というタイムでした。あのコースを5時間36分という素晴らしいタイムで走り抜けたトップの方(31歳)にはもちろん大きな拍手を、でも12時間41分間もひたすら頑張り続けたラストの方(42歳)には、もっともっと大きな拍手を送りたいと思います。

 僕は11:25:20で299位でした。僕としては「完走しただけでも良し」としたいと思っていたんだけど、僕(48歳)以上の完走者を見ると、

 10位:49歳、6:15:04
 15位:50歳、6:30:38
 40位:51歳、7:19:55
 69位:52歳、7:43:00
 93位:51歳、7:59:43
104位:53歳、8:04:08
143位:52歳、8:34:45
164位:65歳、8:50:43<65歳ですよ!!!
185位:49歳、9:10:31
215位:57歳、9:42:18
235位:51歳、9:58:16
299位:48歳、11:25:20<僕です。
310位:49歳、11:41:13
311位:50歳、11:42:36

 と結構いるのよね。来年の目標はサブテンかな。ってまたでるつもりかいな?<ジブン。

 でも65歳、それも8時間50分という素晴らしいタイムで完走した方って、いったいどういう人なんだろう・・・?

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ゴール編
 第2CPから第3CPの林道は、山の斜面に鉢巻を巻くように走っているので、余り高低差はない。でももう8時間以上動いているので、ちょっとした登りでも乗れません。ひたすら押し、押し、押し。幸いなことに給水、給食は順調にできていたようで、時々立ち○●もしました。

 この時は「家族が待っているから、前進しなくては。はよ終わりたい。」という思いだけ。同じ様なペースの人と抜いたり、抜かれたりしますが、ほとんど話をしません。お互い自分のことだけで精一杯。でも割と若い二人連れが日がかんかん照る所で休もうとしていたので、「日影で休んだら。」と言いました。ほんの10m先にちゃんと日影があるのに、その判断もできなくなっていたようです。「八甲田山、死の彷徨」ならぬ「御嶽山、死の彷徨」ですね。

 「あの山を越えたら終わりだろう。」と思って進んでいくと、その先にまた山が見えるんですね。これを20回以上も繰り返したと思います。でもふと振り返ると、僕が走ってきた林道が貯水湖をはさんで見えます。「ああ、オレも頑張ってきたんだなぁ。」とは思うんですが、先が見えないのはやっぱり恐怖。

 この時はもう第3CPで足切りになりたい一心でした。でも願いかなわず第3CPに3時20分くらいに到着。ここで約75kmです。第3CPから下りの舗装路が見えます。4時過ぎにここに到着した人は、この舗装路を降りるんだそうです。「もう降りたい。もうイヤダ。」とは思うんですが、ちょっと休憩、補給食を食べたら、勝手に体がコースの方に動いてしまいます。アホやねぇ。

 ここからはもうちょっとした登りでも押すことにしました。結局この判断が良かった。5時を過ぎた頃から雨もポツポツ降ってきましたが、ヒート気味の体には却って心地よい、でもだんだん暗くなってきて・・・・。ホントに暗くなってしまったらどないしょう・・・。

 下りが始まりましたが、「また登りが始まるんだろう。」と余り期待もせずに下ります。でもいつまでたっても下りです。どうもこれがゴールへの最後の下りだったようです。この頃から雨は土砂降り状態。でも雨で路面が湿ってわだちも見やすくなりましたし、体から余分な力が抜けて割とスムーズにダウンヒルをすることができました。

 平坦なダートを飛ぶように走り、舗装路に出たと思ったらそこがゴールでした。もう走らなくても良い!  登らなくても良い!! 下らなくても良いんです!!!それがなにより嬉しかった。

 ゴール地点からディスカバリーをデポした松原運動公園まで、ライトを点滅させながらの自分一人だけの凱旋パレード。何度「やった、やったぁ。」と叫びながら、バンザイをしたことか。舗装路というものがこんなにありがたいものだとはホント知りませんでした。松原運動公園についたのが5時37分、11時間37分でした。女房と長男が心配して入り口のところまできていました。

 ともかく生きて家族の元に返ってきました。

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第2CPまで

 この書き込みはいつまで続くんでしょうか・・・。

 第1CP通過の時点でとにかく帰還(生還)することを目標にしました。それには脱水、ハンガーノックがなによりこわい。
僕が普段自転車に乗るときは、15分に一回給水、30分に一回何か食べるようにしています。今回もそのつもりだったんですが、ダートでの給水、給食がこれ程難しいとは思いませんでした。キャメル・バッグから伸びたチューブを口にくわえることができない、ジャージのポケットに入れたアメを取ることができない・・・・。しかもキャメルバッグの口金(ゴム製でくわえると水が背中に背負ったタンクからサイフォンの原理で出てくる)の具合が悪く、水がなかなか出てこない。途中何度「ほかったろか!!」と思ったことか・・・・。

 今回補給食として持ったのは
1)おにぎり3個、梅干し3−4個
2)トップ・テン:スイス製のエネルギー飲料。ドロッとして甘い。
3)エネルギー・ゼリー:ウイダーのものを3パック。
4)一口羊羹3−4本
5)アメ10個位
6)パワー・バー:カロリー・メイトみたいなのもの

です。とにかくアメを常に口に含むようにしました。第1CP通過後、日影で休憩することにしました。おにぎりを1個を水で食べ、トップ・テンを飲んだところ、なんかまたやる気がでてきました。

 この頃から僕の技術では、フロント・センターで登れないところは押した方が疲れも少ないし、早いということがわかってきました。とにかくゆっくりでも良いから、なるべく休まず、前へ、前へ。「一歩進めば一歩分ゴールに近づくんだ。」と自分に言い聞かせながら、押したり、乗ったり・・・・。

 空はかんかん照りで、顔、腕、首筋はチリチリと音をたてて焦げ、汗は滝の様に流れます。でも日影に入れば涼しい風が吹き抜けます。ふと見れば木曽の山並みがホント綺麗、眼下には貯水湖もみえます。「ホーホケキョ」とウグイスも鳴いています。第1CPを過ぎるまでは沢水の存在にも気がつきませんでしたが、この頃からその存在にも気がつくようになりました。ボトルに汲んだ沢水の甘くて美味しいこと。甘露とはこのことですね。「次の沢水まで頑張ろう。」と思えるようになりました。ただ沢水のあるところは特にガレガレのきついところなのが、ちょっとツライ。

 一度大きく下った貯水湖付近がちょうど50km付近ですが、ここのダートはホント気持ちよく走れました。でも湖から木が生えているのはなんか黄泉の国のようで不気味でした。気持ちよく走った後はお約束のガレガレの登り、下り・・。

 こんなことを繰り返しながら1時20分位にやっと第2CPにつきました。係りの人に訊くと、ここは2時にクローズ、それ以降に到着した人はエスケープを通って下山するようです。足切りにあわずに良かったのか、悪かったのか・・・。第3CPは4時クローズだそうで、あと2時間30分はある。こうなりゃ行くっきゃないです。

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第1CPまで

「プー」という合図でスタートなんですが、皆さんちっとも出走しない、「最初はゆっくり行こう。」という<ゆとり作戦>なんでしょうか。でもオッサンにはそんな余裕はありません。ちょっとでも前に行かないと・・・。
 最初の3km程は舗装路なんですが、ここから既に上り坂。でも興奮しているのか結構なペースで走ります。今日はあえてサイクル・コンピューターはつけず、心拍計だけをつけていますが、心拍は既に160−170を打っています。「ええんじゃろうか?」とは思うのですが、まわりに引きずられるように走ります。後で考えればオーバーペースだったんでしょう。

 舗装路が切れていよいよダートに入りました。ダートに入っても登りは続きます。行っても行っても登りです。ちっとも平坦になりません。このまま登ったら御嶽山の頂上に着いてしまうんじゃないかと思うほど・・・。でも皆さん結構なペースで登り続けます。でもペースが速い分だけパンク、チェーン外れなどのトラブルも、走り始めの方が多かったようです。クイック・レリースのシャフト(注1)を落とした人もいました。あの人どうしたんだろう。

 最初はそんなことを観察する余裕もありましたが、まだまだ登りが続きます。そのうち、「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」とイヤな音。心拍計のアラームがなり始めました。僕は心拍180で鳴るように設定してあります。「これが続けばとても100kmはもたない。」と思い降りて押すことにしました。しばらく押すと心拍が戻ったので乗車。後はこの繰り返し。このまま登ればエベレストのてっぺんについてしまうんじゃないじゃろか。

 ダートがはじめての僕には、どうやったら楽に行けるかがわかりません。フロント・インナー(注2)でクルクルといった方が楽なのか、フロント・センターにかけてグイグイいった方が良いのか・・・。ロードでは軽めのギヤでクルクルが楽なんですが、これで行くと却ってスリップしてしまいます。路面はガレガレ、ガラガラ。大きいのは子供の頭くらい、小さいのは親指位の岩、石がぎっしり。車のわだちが一番走りやすく、またガレガレの路面では余りトルクをかけず登った方が楽なのに気がついたのは、2時間も乗ってからでしょうか。

 御嶽山の周辺の山は岩質の山なんでしょう。特に濁川付近は先のとがった茶色の岩が露出して、荒涼とした風景です。ニューサイクリング(雑誌の名前)に「何年か前の豪雨で濁川温泉が濁流に呑み込まれて、大きな被害が出た。」という記事があったのを思い出しました。

 さてこのレースには3カ所のチェック・ポイントがあります。第1CPは約30km地点ですが、行けども行けども第1CPにつきません。最初は「第1CPはないのかな?」などと甘いことを考えていましたが、「もうすぐ第1CP」の看板を見たときにはもう既に4時間も経ったことでした。なんと平均時速は8kmです。ってことは12時間経っても96kmで、ゴールに着かないってことではないですか。「どないしよう! やめときゃよかった!!」などなどの思いがよぎりますが、もう遅い!!! 前に進むしかありません。

 登りはこの様にひたすら辛い。でも下りはもっと辛い。フロントとリアが同じラインを通ることはほとんどありません。常にドリフト状態で斜めに走って行くんです。そして下にはタイヤをねらうように鋭角にとがった岩、石、岩、石。
 先にも書いたように車のわだちが走りやすいんですが、山側のわだちには斜面から落ちた岩が多くて、どうも谷側のわだちの方が走りやすい。でもガードレールはなく落ちたら千尋の谷です。ダート・バージンの僕には、怖いなんてもんじゃない・・・。怖がってしまうと上半身に力が入り、バランスが取りにくくなるし、ブレーキレバーを握りしめてしまうと、スピードが落ちすぎて、却ってバランスが取りにくくなることはわかっていてもあきまへん。こわい、コワイ、怖い、恐い・・。

 「あっちに大きな岩があるので、あっちに行きたくない。」と思えば思うほど、あっちの方に寄っていってしまいます。これはスキーの初心者によくあるんですが、行きたくないと思って、そっちを見ているとそっちへ行ってしまう。挙げ句の果て、右側に転倒。自転車の右側にはチェーンホイール(注3)、変速機などの重要部品がついていますが、自転車をかばう余裕はありません。岩角で右肘をすりむきましたが、幸い自転車はセーフ。

 第1CPでキャメルバッグとボトルに給水。ここで既に脱水症状を呈している人もいました。でも他人に関わり合っている余裕はありません。ちょっとでも前進しないと・・・・。

 まだ30km地点です。

(注1)クイックレリースとはワンタッチで車輪を外すことができるようなシステム。競技系の自転車のホイールはママチャリと違ってレバーを倒すだけで簡単に外れます。かの有名なカンパニョーロ社はこのシステムの開発からスタートしました。
(注2)マウンテンバイクには前のギヤが3枚、後ろのギヤが7−9枚ついています。フロントインナーとは前のギヤが一番小さいことを示します。
(注3)チェーンホイールとは脚でこぐ所についているギヤのこと。

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出走まで

 さてレース当日です。早朝6時のスタートなので、「2時間前には食事をしておきたい。」ってことで4時に目覚ましをかけておいんですが、やっぱり興奮していたのか、鳴る前に起きてしまいました。普段イベントの前にはよく眠れないことが多いんですが、御嶽山に登って適度に疲れていたのか、割とぐっすり眠ることができました。

 でも昨夜頼んで置いた朝食のおにぎりを食べようとしても、なかなか喉を通りません。それどころか緊張の余りゲボしそう・・・。ホントは気が小さいんですよ。なんとか2個をお茶で流し込みました。でもおやつにとご主人が入れて置いてくれたバナナが美味しゅうございました。

 緊張の余りトイレに何回も駆け込みます。昨夜のうちに準備しておいたキャメル・バッグやヘルメット等々の戦闘用具を持ち、さあ出発だあ。出発地点に向かう途中、 またトイレに行きたくなって公衆トイレを借りたんですが、ここがまた綺麗なこと。こりゃ幸先いいぞ・・・。

 駐車場は<松原運動公園>というところなんですが、 公園とは名ばかりのただのグランド。ここがもう車でいっぱいでした。車を停めてヘルメット、ジャージを着て準備をするうちにだんだん不安が高まってきて・・・。子供達はこれだけたくさんのバイクを見るのははじめてで、ちょっと興奮気味。長男がバイクで女房にイタズラをして怒られておりました。 「父親の心、子知らず」というところでしょう。

 出発に際し家族と<バーム>で水杯。女房に「平均15kmで7時間、途中休憩などを入れても8時間くらいで帰れるだろう。」と言って出かけました。僕が走っている間はトレッキングとBBQというコースに参加することにしてました。子供達は昨日の御嶽山登山に懲りて、トレッキングなんて行きたくないとブツブツ・・・。

 スタート地点は駐車場から3km程離れた王滝小中学校。ここにバイクで移動するまでに、またトイレに行きたくなりましたが、スタート地点のトイレは長蛇の列。「やっぱりみんな緊張しているんだな。」と思ったら、なんか急に落ち着いてきました。

 さて100km、40kmあわせると約800人位が参加しています。プログラムを見ると30代から40代が多い。それだけこの世代は閉塞状況にあるんでしょうか。(ちょっと考えすぎかな?)

 6時になって「プー」というマヌケなスタート合図で出発しました。

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前日編

 レース前日の7月20日、5時に出発しました。恵那峡サービスエリアで朝食後、中津川インターから19号線に入り、一路木曽福島を目指します。ディスカバリーの中はMTBとレース用品、親子4人とその荷物で満載。リアのスペアタイヤにはサイクルキャリアが付けてあるのですが、大事なMTBをそんなところに積むわけにはいきません。後部座席に座る女房と長男が「狭い、狭い」とブツブツ言いますが、無視、無視・・・。

 19号線を快調に走り<元橋>で左折、三岳村を通り王滝村に入ります。いつも奥三河の山の中を自転車で走って「三河の山も大きい」と思っていますが、木曽に来ると改めて「木曽の山はホント大きい」と思います。空は真っ青、途中の御岳湖の美しいこと。

 今日は前哨戦として御嶽山に登るつもりです。御嶽山はいかにも信仰の山らしく、至る所に神社があります。登山口の<田の原>について、駐車場に車を停めて降りてみると、涼しいを通り越して寒いくらい。長袖のシャツ、長ズボンに着替えて、弁当、雨具、ボトルを親子4人でもち、さあ出発だぁ。

 <大黒天>に「登山の無事」と「レースの無事完走」をお祈りした後、頂上を目指します。遙拝所を通ると木の階段、さすがに暑くなってきてTシャツ1枚に。次男は好調でほぼ遅れずについてきますが、長男が絶不調ですぐ遅れてしまいます。訊いてみると「息が吸えない。」とのこと。「どうする?」と聞くと「もう少し頑張る。」というので、ゆっくりゆっくり登ります。<あかっぱげ>というガレ場を通り越す頃からやっぱり長男はダメみたい。明日のこともあるので<金剛童子>のあるところ(8合目)で引き返すことにしました。<金剛童子>様にお参りをした後に待望のお弁当。

 弁当を食べたら長男は元気になりましたが、下りも結構きつかったし、次男の方が下りでばててしまったので、あとで考えるとここで引き返して良かったようです。

 ペンションについて荷物を降ろした後、レースの申し込みに。出走登録をしてバイクにつけるタイム計測用のチップ、ゼッケンなどを頂きました。この時予定の林道が崩落して、約3km距離が伸びたことを知らされました。

 宿に帰ってプログラムを見ると約800人位の人が参加するようです。同宿の若い人はなんと徳島から参加です。後で女房が「宿が取れなかった方もみえるみたいよ。」と言っておりました。ゼッケンをつけ、補給食の準備。エネルギーゼリー、パワー・バー(カロリー・メイトみたいなもの)、おにぎり、梅干し等々。

 あとは明日のお天気を祈るのみです。

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準備編

参戦を決意した以上、やっぱり完走したい。ちょっと古いけど「最低でも完走、最高でも完走」です。それには練習するしかありません。でもそうそう時間がある訳じゃないし・・・・。

 となるとオヤジはすぐ機材に走ります。何年か前に買ったDEAN(メーカーの名前)のチタンのMTBでホントは十分なんですが、参加を口実にクライン(メーカーの名前)の新車を購入。 「これは良い買い物だった」と思うんですが、最新のアルミバイクはなんせ硬い。硬いバイクは踏めば踏んだ以上に進みますが、その代わり腰に来るのも早い。この硬さに慣れるためにもっと乗らなきゃいけないんですが、日曜日はついついロードに乗ってしまいます。結局今までに乗ったのは1回だけ・・・・。

 さらに今度のイベントでは水の補給はありますが、それ以外の食料などの補給は一切ありません。オフ・ロード、標高差1670mを考えると、アヴェは良いとこ15kmでしょう。100kmをアヴェ15kmで走ると約7時間、ロング・ライドをするときは、ゆっくりでも良いからなるべく休憩時間を短くすることがコツなんですが、せっかくの林道、2回くらいは景色の良いところで20分程度の休憩は入れたい、となるとやっぱりスタートからゴールで8時間はかかると思います。となるといつもの補給食の倍はいる計算になります。

 補給食はエネルギー・ゼリーなどが主体になるとしても、これは甘いものが多く、食べ続けると口の中がネバネバして、食欲もなくなってしまいます。梅干しなどの酸っぱいものも食べたいし、休憩の時にはおにぎり位はたべたい。となるとジャージのポケットだけでは収まりません。ってことで水も運べるリュック(キャメル・バッグという名前がついてます)を購入。

 パンク、チェーン切れなどのバイクトラブルにもサポートはないそうなので、スペアチューブ2本とチェーン・カッター、予備のピンも買い込みました。(注1)アーレンキー(注2)などはうちにゴロゴロしてますから、これは購入せず。携帯用の工具という選択肢もあるんですが、こういう簡易工具は結局使いものになりません。

 申し込みの時なにを血迷ったか、20kmのトレール・ランにも申し込んでしまいましたので、ランの練習もしないといけません。でも○5kgという情けない体では、「一回練習する」>>「膝が痛くなる」>>「2−3日は練習できない」>>「次の練習に気が向かない」>>「練習しない」という悪循環で結局ほとんど練習せず・・(汗)。

 こうなるとオヤジはまた機材に走ります。長男にやったウエストバッグを取り上げ、ちょっと工夫してボトルがつけれるようにしました。ジョッギング・シューズも型落ちではあるけど良いものの安売りのを見つけて買い込みました。シダスのインソールを作るのはさすがに贅沢と考えて、スキー靴から失敬することとしました。

 ランニング用のウエアは、ホント、スマートな人向けのものばかりで(スマートになりたいからジョッギングをするデブもいると思うんですが)、僕が着るとどうにも変。ってことでルーズ・フィットのバイク・ウエアで走ることにしました。

 たった1日のイベントなのに、どんどん構想がふくらんでいきます。これがまた楽しいんだな。お金がいるけど・・・・。

 機材がそろったところで練習すりゃいいのに・・・・。オヤジは練習もせずに、「捕らぬタヌキの皮算用」をはじめます。7時スタートのランのレースで距離は20km。歩いても時速4−5kmはいけるでしょう。ってことは最初から歩いてしまえば良いではないですか。ヘタに練習して膝でも痛めたら、歩くこともできないじゃないですか。エエンカイナ、こんなことで・・・。

 6月1日に申し込みをした頃にはそれでも健気にランの練習をしてたんですが、待てど暮らせど参加証が来ません。いい加減モチベーションが無くなってきていた先週の土曜日(7月7日)に、参加証が来ました。ゼッケンはMTB、ランとも、No 41。一応いずれも300人の定員ですので、割と早い申し込みだったようです。集合地点、持ち物などの案内を熟読玩味して、モチベーション復活!!

 さて今度のレース参加は家族も同伴します。僕が林道で喘いでいる間女房、子供になにをさせておくかに頭を悩ませていたのですが、「トレッキング+アウトドア・クッキング」もあるようですし、「ホッ」としました。釣りキチ渓谷というところもあるようなので、ランの日にはここで遊ばせておけば良いでしょう。

 うーん、だんだん固まってきたぞ。

(注1)チェーン・カッターとはチェーンを切ったりつないだりするときに使う工具。ダートではチェーンが暴れてギヤに巻き込んでしまったりして切れることがあるんだそうです。僕は串原村の山の中でチェーンが切れて延々自転車を押したことがあります。
(注2)アーレンキーとは自転車の組立に使う6角型の断面をした工具。

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プロローグ

 僕が最後に自転車のイベントに出たのはもう7−8年前の八ヶ岳サイクルマラソンでした。これは八ヶ岳自然文化園をスタート、鉢巻道路、八ヶ岳横断道路を通り、清里を経由、更に小海線に沿って国道141号線を八千穂村まで走り、同じコースをスタート地点まで戻る(約80km)というものでした。 

 村おこしの意味もあったんでしょうが、初期の頃は手作りの楽しいイベントで、毎年参加し「去年より少しでも時間を短縮しよう」と練習したものです。でも参加者が増えるにつれて、モラルの低下、コースの交通量の増加、度重なる事故(単独、対自動車も含め)などで第10回を最後に開催されなくなりました。

 それ以後はソロで走るだけでしたので、いっときは自転車に乗るモチベーションをなくして、乗らなかった時もありました。でも去年からはいつもお付き合い頂いている「串原村シリーズ」(注1)に書き込むことが、大きなモチベーションになっていました。それも「そろそろマンネリ化してきたなぁ」と思っていたときに、このイベントのことを知りました。

 自転車スポーツに理解がない我が国では、公道を使った自転車レースにはなかなか警察から許可が下りないそうです。そのためサイクルスポーツ・センターや鈴鹿サーキットなど、クローズド・コースを周回するといった形のレースがほとんどです。今回100kmの林道の使用許可をどうやって取ったのか、あるいは林道ということでお目こぼしが得られたのか、興味のあるところです。

 「出てみたい!!」とは思うものの6月1日に参戦の申し込みをするまで、随分迷いました。自分の歳、林道100km、標高差1670mというスケールを考えると、どう考えてもマトモじゃない・・・。「辞めといた方が良いんじゃない。」という常識人の声と「今ここでやらなきゃ、一生できん。」(大分大げさ)という非常識人の声が鬩ぎ合います。

 決め手となったのはオフクロが今年も夏の集団山行に参加するということでした。この集団山行は8月に3泊4日から4泊5日位の日程で縦走をするものですが、オフクロは毎年「今年こそ最後、今年こそ最後。」と言いながら参加を続け、もう何年になるでしょうか。68歳にもなるので家族としては心配ですが、オフクロにとって年に1回の大イベント。これがあるから月に2回から3回の山行も欠かさず行っています。

 「68歳が縦走をしようってのに、48歳が高々100kmを走れんわきゃない。」ってことで、参加を申し込んじゃったのよ(理屈にもなんにもなってないですね)。
               
(注1)「串原村シリーズ」とは人の迷惑も考えず、僕が昨年からパティオに書き散らしている自転車の練習日記。

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○ 御嶽山にジゴクを見た
 2001年の7月に夏休みを取って[self-discovery adventure]シリーズのクロス・マウンテンバイク(7月21日開催)と、クロス・マウンテンマラソン(7月22日開催)に出てきました。前者は王滝村(御嶽山のある所)の林道100km、標高差1670mを走るもので、制限時間10時間、後者は王滝村のトレイル20km、標高差500mを走るもので、制限時間5時間というものです。48歳のオッサンが如何に戦い、ボロボロ、ヘロヘロ、ズタズタになったか・・・・。
 3年前のレポートで恐縮ですが、毎年6月になるとこのレースのことを思い出します。オッサンの夏休みの記録として読んでいただければ嬉しいです。

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○ プロの仕事はいつも至急

 僕の行きつけのショップは皆仕事が早い。アンティーク・ショップでは時計のちょっとした遅れや進み、針が取れてしまったなどのマイナートラブルならば、ご主人と雑談している間に、時計師のお父様がチャチャチャと直してくれます。僕が50年も前の時計を日常使いにできるのは、いつ壊れても大丈夫という安心感があるから。

 自転車店も「ちょっと変速の具合が悪いんだけど・・・。」と持ち込んでも、すぐに調整してくれます。言われた事をやるだけではなく「あれっ、これエンド曲がってますよ。」と隠れた不具合も手早く治してくれます。下り坂では僕のようなオッサンでも60kmを簡単に越してしまうロードレーサーに乗れるのは、十分な整備をしてくれているという安心感があるから。

 スキーショップも同じ。自分でワックスをかけるつもりでもなかなかできず、本当に差し迫ってから持ち込むこともあります。でも決して手は抜かない。滑走面の調整、ベースワックス、基礎ワックス、仕上げワックスと少なくとも4〜5
回はワックスをかけて戻してもらえます。見ただけでは決して判りませんが、ここにワックスをお願いしたスキーは本当によく滑ります。

 僕の7年落ちの車の面倒をみてくれている街の自動車工場も「どうしても週末に使いたいんだけど・・・。」とお願いすると、「部品が揃えば良いんだけどねぇ・・・。」と言いながらも、まずそれまでに修理してもらえます。そして使える部品は補修して使ってもらえるので、コストも安い。

 プロの仕事は常に「至急」。ゆっくりやっても良いのはアマチュアでしょう。そのために自分の道具を常に使いやすい状態にしておくのは、プロとして当然の義務。そしてなによりも「正確さ」を求められるのは当然。アマチュアが気づかないトラブルの隠れた原因を見つけ、的確に処理しておく。さらに「丁寧さ」というものも要求されます。アンティーク・ショップでは時刻を正確に合わせ、金磨きで時計についた指紋を拭いてから返してくれます。自転車店ではどんなに忙しくても手を洗ってからバー・テープの巻き換えをするし、スキーショップではせっかく仕上げた滑走面やエッジが傷つかないように、スキーとスキーの間に紙を一枚挟んで留めて戻してくれます。自動車工場ではどんなに急いでも必ず洗車をしてから納車してくれます。

 さて自分のクリニックでこのような気遣いができているか。患者さんをお待たせしないように、そして正確な診断をするように、そして丁寧に説明するように努力はしているつもりです。患者さんが少し混んでくるとこの3つを完全に果たしているとはいえません。もちろんクリニックという単位である以上、クリニック全体のレベル向上が大切。そのため職員にもプロである事を要求しています。しかしこれもなかなか難しい。プロを名乗ることは簡単ですが、プロであり続けるいうことはなかなか難しいことのようです。

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 ○ アトモス、ストップ

当院の待合室で静かに動いている時計があります。これがアトモス(Atmos)というジャガー・ル・クルトJaeger-Le-Coulte)製の時計で、温度変化を動力としており永久機関ともいえる機械です。

 レオナルド・ダビンチの時代から人々は永久運動に興味を持ち、その夢を追い続けて来ました。1928年にジャン・レオン・ルターという技師が温度変化を動力にして動く時計を製作しました。これが実質的な永久運動をするアトモスの誕生につながるのです。

 アトモスの原理はごくごくシンプル。蛇腹のカプセルに封印されたガスが、温度変化によって膨張と収縮を繰り返す事によって、蛇腹がアコーディオンのように動き、その動きがぜんまいを巻き上げる力に変換されるというものです。1度の温度変化があれば、約2日間アトモスが動き続けることのできるエネルギーを蓄えることができます。

 文字盤の下でクルクルと回っているのが、普通の時計のテンプにあたるアトモスの振り子で、これは1分間に2振動しかしませんので、精度という面ではクオーツ時計には及びません。電池式の置時計で文字盤の下で円盤が回っているというデザインの時計がありますが、あの円盤は単なる飾りでテンプの役目を果たしているわけではありません。アトモスのデザインを真似たんでしょうが、円盤を回すために時計とは別のバッテリーがいるという始末で、永久機関を目指したアトモスの志しの高さにはとうてい及ぶべくもありません。

 さてうちのアトモス、ここ数週間遅れが目立ってきていました。「暖かくなったせいかな。」と思っていたんですが、そのうち止まってしまいました。早速アンティークショップに持ち込んで見てもらったところ、どうやら設置した時に水平が出ていなかったようです。連休中お預かりして様子を見てもらいましたが、大丈夫なようです。ごくわずかのエネルギーで動いている物には、それなりに気を遣ってやらないといけませんね。

Jaeger-Le-CoulteThe Manufacture's Book of Timepiecesを参考にしました。

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○ 固定ギヤの魅力

 今僕が夢中になっているのは「固定ギヤ」の自転車。普通の自転車にはフリー機構がついていますから、脚を止めてもホイールは回転し続けます。それに対し「固定ギヤ」では一枚のギヤがホイールに直接固定されているので、自転車が走っている限りクランクは回転し続け、脚を休める事ができません。固定ギヤの代表的なものに競輪用自転車(トラック用自転車)があります。

 自転車では人間がエンジン。絶対的な出力としては0.5馬力もないこの人間エンジンは「回転数が低いほどトルクがでる」という特質と、「バリアブル変速がきく」という特質を持っています。固定ギヤには変速機はありませんから、この二つの特質を使って平地は平地なりに、山は山なりに走るわけです。そして自分の脚力を超えた登り坂に出くわした時には、キッパリとあきらめて押すということになります。

 時代遅れに思える固定ギヤですが、平地、緩い登りや緩い下りといった条件では、フリー付きよりもむしろ早く楽に走れます。一番楽しいのは「自転車が勝手に目的地まで連れて行ってくれる」という感覚が味わえる事。フリー付きの自転車は常にラチェットに力を加わていないと、ラチェットが外れてフリーになろうとします。固定ギヤだとそれがない。リヤ・ホイールのフライ・ホイール効果で、回り続けようとするクランクに軽く力を加えてやるだけで、ドンドンと進んでくれます。フリー付きが「止まろう、止まろう」とするのに、固定ギヤは「走ろう、走ろう」とするといっても良いとおもいます。

 自転車は確かに機材スポーツという側面があります。僕が中学に入った時に買ってもらった前1枚、後ろ3枚のギヤの自転車よりは、今乗っている前2枚、後ろ10枚の自転車の方が、楽に走れることは確かです。また15kg以上はあるであろうマウンテン・バイクもどきの自転車より、10kgを切る僕の自転車の方が絶対に速い。機材を良いものにすれば、少しでも速く走れるんじゃないかと、僕もいろいろ機材をいじって来ました。

 しかし固定ギヤは「何よりもエンジンが大事」ということ、そして「エンジンの性能向上や性能低下」をはっきりと教えてくれます。ウイーク・デイに全く運動ができず、先週の日曜日に登れた坂が今週は登れないということもままあります。でもこの「白黒がはっきりしている」というか、「オンオフがはっきりしている」ということが実に気持ちが良い。またこれに乗っている時はかなりの集中力を要求されます。俗世の諸々の悩み事を考えているヒマはありませんので、乗った後はホントすっきりします。決して安全な乗り物とはいえませんが、しばらくは固定ギヤから離れられそうもない。固定ギヤが開業医とすると、フリー付きは設備の充実した大病院といっても良いかもしれませんね。

○小池一介さんの「固定ギヤの深遠なる世界」(エイムック203「ロードバイクが丸ごとわかる本」vol.3、p.126〜137)を参考にしました。

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○ マイ・フェイバリット(My favorites)

 私の趣味の自転車、スキー、アンティークには、全て行きつけの店があります。自転車屋のご主人とは僕が結婚する前からのお付き合い。「もしもし」だけで「今日は何だった?」と返事が帰ってきます。アンティーク・ショップのご主人とも、同じ年頃の息子がいるということもあって、家族ぐるみのお付き合い。スキー・ショップのご主人とも同じような間柄で「今度はこのスキーだね。」と、ご主人が勝手に選んでくれます。

 ご夫婦ともご高齢のため、残念ながら一昨年を最後に廃業されてしまった海水浴場の民宿には、息子達がまだオムツをしている頃から、夏になると毎年行っていました。僕が子供の頃の雰囲気の残った実に良い所でしたので、去年の夏はふるさとを失ったようなサビシサを感じました。これ以外にもスキーに行く時は志賀の同じペンションに泊まりますし、夏、秋などには原村の同じペンションに遊びに行きます。

 このようなマイ・フェイバリットを見つけるまでには、随分失敗もしています。ガイドに良いところと書いてあったので、行ってみたら布団は湿気臭い、ご飯は冷たいなど一度で懲りてしまった事も多々あります。マイ・フェイバリットを見つけるためには、結局そのお店と少し付き合ってみるしかないし、一度泊まってみるしかない。ガイド誌はあくまでも参考にしかなりません。インターネットで個人が情報を発信することが簡単にできるようになりましたが、ある人にとってのマイ・フェイバリットが、別の人のマイ・フェイバリットになるとは限らない。

 僕がマイ・フェイバリットとしてのショップや宿を選ぶ時には、「相手の顔が見える」ということが絶対の条件。量販店や大きなホテルは相手の顔が見えないので選びません。でもこういった顔の見えるショップや宿の経営は決して楽ではない。「お互い同じ悩みを抱えているんだねぇ・・。」と、他のお客さんがいない時にはそんな話もしてきます。

 患者さんにとってマイ・フェイバリットといえる医療機関があるということは、とても良いこと。患者さん自身の病気だけでなく、家族の病気のことまで知っている。病気のことだけでなく家庭事情までしっている。それが「かかり付け」ということでしょう。でもこれがなかなか難しい。まさか「ちょっとかかってみる」というわけにもいきませんが、ご自分のかかり付けを探すのには、それなりの努力も必要だと思います。ある人にとっての良いかかり付けが、別の人の良いかかり付けになるとは限らないのは当然の話。開業して10年たちますが、なかなか患者さんのマイ・フェイバリットにはなれません。

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○往診は自転車に乗って

 過ごしやすい季節となりました。いくらエアコンが発達したとはいえ、在宅患者さんにとって、夏は一番ツライ季節。皮膚炎や真菌の感染症など、皮膚のトラブルも増えます。特にカテーテルの入っている患者さんでは、尿が混濁したり、カテーテルが詰まったりのトラブルが多くなる。尿バックに貯まった尿からの臭いも強くなります。説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\noguchi\Documents\HP\img\cross.gif

 この時期と秋が在宅患者さんにも、介護するご家族にも、そして私にとっても一番快適な季節。お天気が良くて、あまり荷物が多くない時には、自転車で往診に出かけます。

 在宅がうまくいく条件の一つに、「医院と患者さんのお宅が近い」ということがあります。できれば歩いていける距離(半径1km圏内)が理想ですが、泌尿器科という科の特性もあって、現在は半径5km位の圏内の患者さんを診せてもらっています。

 このくらいの距離なら、自転車で十分。時間的にも「駐車するための時間もいらない」、「一方通行もお構い無しに走れる」ということで、かえって車より早いくらいです。必要な荷物は背中のリュックの中。往診中にケガでもしたら、元も子もありませんので、ヘルメットや手袋は忘れません。

 去年まではマウンテン・バイクを使っていましたが、今年はサスペンション・フォークを付けたシクロクロス車です。シクロクロス車とは自転車を使ったクロスカントリーに使うもので、27インチのホイールに太目のタイヤをつけたものです。サスペンション・フォークと太目のタイヤが、悪い路面を苦もなくトレースしてくれますし、27インチのホイールは26インチのホイールのマウンテン・バイクよりは、はるかに速い。

 往診日には午前の診療が終わったら、すぐ出かけます。5件のお宅を回って、約3時間。自転車で往診に行く日は、カテーテル交換などの処置をすることは少ない。「患者さんを診る」というより、むしろ「介護してみえる患者さんのご家族のお話やグチを聞きに行く」といった方が良いでしょうか。

 ひとしきりご家族のお話を聞いての帰りしな、「いつもグチばっかりこぼして、すみませんねぇ。でも先生にしかグチをこぼす相手がいないので・・・。」と言われると、「いえいえ、そちらこそ本当にご苦労さまです。」と答えたくなります。

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○ディフュージョン・ブランドの魅力

 古時計の世界にもデフュージョン・ブランド(diffusion brand)というものがあります。これは「普及促進ブランド」と言ったら良いのでしょうか。一流時計メーカーが少し安価なラインを、別のブランド名で供給するというものです。

 ロレックスのデフュージョン・ブランドであるチュードル(Tudor)が有名ですが、これ以外にも、ティソ(Mathey-Tissot:オメガのデフュージョン・ブランド)、ヴィットナー(Wittnauer:ロンジンのデフュージョン・ブランド)などがあります。

 チュードルはロレックスのケースをそのまま使い、中のムーブメントにETAを入れています。ところが時にロレックスの機械が入っているチュードルがある。けっしてETAの機械が悪いわけではありませんが、やっぱりロレックスの機械が入っているチュードルは珍しいし、チュードルの値段でロレックスが買えるということは嬉しい。

 しかしデフュージョン・ブランドの魅力は、決して値段が安いというだけではありません。チュードルには文字盤のデザインが面白い。ロレックスという大ブランドではできないデザインの遊びがあります。ティソにはワールド・タイムという名作時計があるし、トリプル・カレンダー(月、日、曜日がわかる)+ムーン・フェイズ(月齢がわかる)+クロノグラフ(ストップウオッチのようなもの)というような複雑時計も作っています。もっともこれらの名作時計や複雑時計は決してお安くはありません。

 さて開業医には容易にアクセスできる、待ち時間が少ないなど、デフュージョン・ブランドという側面が確かにある。しかし単なる大病院のディフュージョン・ブランドになっては絶対にいけないと思います。確かに開業医では検査機器やスタッの充実には限界がある。自分のクリニックの能力を超えた患者さんには、大病院を受診してもらわないといけないこともあります。でもゆっくりと診療時間が取れる、患者さんばかりでなくご家族の事も十分に考慮しての医療が提供できるなどのメリットもあります。泌尿器科専門クリニックである以上、診療の質は落とせません。

 大病院にはない魅力をどう作っていくか・・・。「ロレックスの機械が入ったチュードル」のようなクリニックを目指して、スタッフともども努力を続けたいと思います。

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○在宅医療の現実

 あまり遊びのことばっかりで、ちょっと気がひけるので、今回は当院で行っている在宅医療の現実について、お話したいと思います。

 当院が開設以来、「愛知診診連携」に加わっていることは、診療案内のところにも書いてある通りです。特に千種区の高見学区は、積極的に在宅医療に取り組んでみえる開業医の先生方が多いところですので、その先生方からご紹介を受けたり、訪問看護ステーションからご依頼を受けたりして、私も10年間、在宅医療に取り組んできました。

 患者さんの全身管理は内科の先生にお願いし、私は患者さんの尿路管理を主に受け持つという形を取って来ました。多い時には10人を超す患者さんを診せていただきましたが、現在は5人の患者さんを診せていただいています。延べだと40人程度の患者さんを診せてもらったことになります。

 介護をしてみえる家族(多くは女性)には、本当に頭が下がります。ほとんどが寝たきりの患者さんですし、1人の患者さんを1人の家族が介護するという、マン・ツー・マン介護がほとんどですので、食事の世話、排泄の世話、入浴、清拭などなど、ご家族は本当に大変です。現在診せてもらっている患者さんの中には、「尿道留置カテーテル」の他に、「気管チューブ」と「胃ろう」を入れてみえる患者さんもみえます。このご家族は3つのカテーテルの管理をしてみえるわけです。またご高齢の患者さんを高齢のご家族が介護するという、いわゆる「老老介護」が多く、介護者もなにか病気を抱えてみえます。

 さて排尿管理の方法は尿道カテーテル留置、間欠的導尿、膀胱ろう、オムツなどがありますが、やはり尿道カテーテル留置が主体です。確かに「自分の好きな時にトイレで排泄する」ということが、最も望ましい。基本的人権と言われれば、その通りでしょう。しかし尿道留置カテーテルが入ったまま病院を退院された患者さんから、在宅でカテーテルを抜いて、自分でトイレに行けるようしたり、間欠的導尿に持って行くということは、私の努力不足かもしれませんが、家族にとって実に大変なこと。

 何とかご家族の負担を減らしたいと、自分なりに尿路管理に工夫はしているつもりですし、毎週1度は訪問し、カテーテルの具合や尿の汚れ具合にも気を配っているつもりです。それでも夜間にカテーテルが詰まって、患者さんやご家族にご迷惑をかけてしまう事もある。そんなときは自分や自分のクリニックの力不足を痛感します。

 「老人の89%が在宅死を望んでいるが、実際在宅死する老人は33%」というデータもありますが、私が診てきた患者さんで実際在宅死された患者さんは、指折り数えるほど。合併症などでどうしても在宅では介護しきれなくなり、最後は病院でというケースが多い。ご家族が「亡くなりました。」とわざわざ報告に来てくださると、「本当にご苦労さまでした。本当にお疲れ様でした.。」という言葉しか出ません。

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○スキー試乗会で思った事
              
来シーズンモデルのスキーの試乗会に、マイア・スキー場へ行って来ました。4月とは思えない大雪で、セーターを持ってきていて、大正解。ピステンがかかった後に、ウッスラと雪が積もった状態で、普段なら最高の条件なんですが、さすがに4月ともなると、雪が重くて・・・。                                      

 年甲斐もなく「来シーズンはもっと飛ばしたい。」と思っていて、スキークロス用の板を新調する事を考えています。そこでクロス系の板を中心に試乗しました。

 でも、ダメ・・・でした。150cm位の短い板ならまだゴマカシが効くんですが、180cmの板は前に突っ走ってしまって恐いこと、恐いこと。今回初めて判ったことですが、どうやら僕はターンの早期から、エッジを立てるスキーをしているみたい。
「ターンが終わる前に、次のターンの谷脚に乗りたがる」と言った方が良いでしょうか。
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 クロス系の板だと、「スキーが下に向かって走ってしまう>コントロールに対する不安がつのる>後傾になる>ますますスキーが下に向かって走る>ますます不安が増す・・・。」という悪循環でした。特に雪質が悪い分だけ、ゴマカシがきかなかった事も、かえって板の特性をはっきりさせてくれたと思います。

 4本位試乗したところで、自分のスキーに乗ってみました。「やっぱりオレのが一番良いや。」なんて、ショップのご主人に話したところ、「これに乗ってみてください。」と言われて、黒い渋めの板を渡されました。
 この板はホント、「目からウロコ」でした。今の板に安定性を増したような乗り味。思いどうりにコントロールできるし、バタつきもない。いやぁ、欲しくなりました。まあそれがショップの目論見なんでしょう。
 でも今回は「評価するということの難しさ」というか、「基準の設け方」というか、ホント勉強になりました。

 僕も患者さんを診る時に、いろいろな情報をもとに、診断をしているわけですが、「医学的知識だけでは、患者さんの病気を評価する基準にならない」と、今さらながら思います。患者さんの人格、人生観、生活環境などなど、できる限りの情報を総合しないと、患者さんのニーズにあった治療は提供できないんだろうと思います。

 また「雪質や板が僕に自分の滑りの特徴を教えてくれた」ように、「患者さんが僕に自分の診療の特徴を教えてくださり、診療の質をあげてくださる」ということも、改めて感じました。

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○メモボックスという時計

今僕の腕にはメモボックス(Memovox)という時計が巻かれています。これはジャガー・ル・クルト(Jaeger-Le-Coultre)製の、アラーム機能のついた時計です。希望の時間をセットし、ぜんまいを巻き上げておけば、その時間になると、「ヂヂヂヂヂ・・・」とまるでセミの鳴くような音で、時間を知らせてくれます。

 アラーム機能のついた時計はメモボックス以外にも、チュードルのアドバイザー、レビュー・トーメンのクリケット、オメガのメモマチックなどがありますが、メモボックスだけがアラーム竜頭を押し込んだ状態で、アラームセットされます。

 他社の物は全てアラーム竜頭を引き上げた状態でアラームセットされるため、非常に不安定。誤って竜頭を押し込んでしまうと、アラームはオフになってしまいますし、押し込まないまでも竜頭が動いてしまうと、セット時間が狂ってしまいます。メモボックスの方式の方が、明らかに利点が多いのですが、他社がこの方法を採用しなかったのは、パテントの問題があったのでしょうか。

 メモボックスは裏蓋にじかについている棒鈴を、ハンマーが叩いて音が出ますから、さほど大きな音はしません。地下鉄など騒音のひどいところでは、音を聞くというより、手に振動が伝わって、アラームがわかるということになります。

 棒鈴のついている位置、手巻きか自動巻きか、自動巻きでも半回転か全回転かでアラーム音は変わり、1本として同じ音のメモボックスはないと言われています。メモボックスのアラーム音は「セミの鳴き声」と評されます。ちなみにレビュー・トーメンのクリケットは「コオロギの鳴き声」と評されます。

 さて僕のクリニックにも滅菌器、低周波治療器、自動血圧測定装置など、アラーム音を出す医療器械がいくつもあります。どれも一様に「ピー、ピー、ピー」という耳障りな電子音。鳴るたびに「ドキッ」とします。注意を喚起するという点では誠に有効な音ではありますが、これもあまり頻繁に鳴ると、「ああ、またか・・・。」と、注意しなくなる。メモボックスの音は小さいですが、「そうそう、時間だな。」と思わせてくれます。

 電子音のアラームより、「セミの鳴き声」の方が、僕の注意を喚起してくれるのは、不思議にも思えますが、忙しい現代、余りにアラームが多すぎて、それに鈍感になってしまっているのではないでしょうか。

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○アンティーク時計の楽しみ(その2)

 特に「ご縁」を感じさせてくれるのが、「献辞のある時計」。献辞のある時計とは、裏蓋などに、ちょっとしたメッセージが掘り込んである時計のことです。有名なところでは、ロレックスのクオーター・センチュリー。これはイートンが25年勤続した職員に贈ったもので、インデックスがCENTURYの活字になっている時計です。

 これも魅力的な時計ですが、僕が本当に魅力を感じるのは、「定年で船を降りるキャプテンにその部下達が贈った時計」、「息子に両親が贈った時計」、「退官する教授に生徒達が贈った時計」など、もっとプライベートな「献辞のある時計」。

 部下達がキャプテンに贈った時計は、大振りの長角の金無垢。「この大振りの時計が似合うって事は、キャプテンはきっと大柄な人だったんだろう。」とか、「長角の時計が似合うってことは、きっとダンディな海の男だったんだろう。」とか、想像するだけで楽しい。

 両親が息子に贈った時計は、成人の記念? それとも結婚のお祝いだったんでしょうか。絢爛豪華な時計なので、結婚のお祝いの方が似つかわしい。息子のために両親がこの時計を選んでいる情景さえ、目に浮かぶような気がします。でもこの時計を贈られたなんて、相当な金持ちだったことは間違いない。

 教授に贈られた時計は、金無垢の大振りなポケット・ウオッチ。フルアラビックの文字盤は、老眼の進んだ教授に合わせたんでしょうか。「この時計を贈られるなんて、幸せな教授だな。」とか、「生徒には厳しかったに違いない。」とか、思ってしまいます。

 そういえばアインシュタインは、パティック・フィリップのポケット・ウオッチを愛用していたそうです。アインシュタインの時計には、どのような献辞が書かれていたんでしょう。まさかF=mc2ではないですよね・・・。

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○アンティーク時計の楽しみ(その1)

 古時計を集めるようになってから、もう10年近くになり、それなりのコレクションを集める事ができました。オメガの自動巻きの進化の歴史を追って、キャリバーを集めた事もある、クロノグラフのメカニカルな魅力に執りつかれた事もあります。そして今は軍用時計の無骨さに惹かれています。自分では「そう強欲な人間ではない。」と思っているのですが、まだ欲しい物が出てきます。

 お金さえ出せば入手できる現行の物と違って、アンティーク時計はいくら欲しいと思っても、物が出てこないことには自分の物にすることはできません。またたとえ出てきたとしても、予算と合わなくては、手に入れることはできません。
 それ以上に強く感じるのは、「運気」というか、「ご縁」というか、「タイミング」ということ。「物が持ち主を選ぶ」と言っても良いかも知れません。

 前々から欲しいと思っていた時計を、意を決して、お金も用意して、勇んで買いに行ったところ、ホント、タッチの差で売れてしまった事もあります。前のお客さんが! 僕の物になるはずだったその時計を!! 僕の目の前で!!!包んでもらっていたのを、呆然と見ていたのを覚えています。

 長いことショー・ケースの中に陳列され、その時計が陳列されている事にも気がついていたのに、ある日何気なく出して見せてもらったところ、一目でその時計に執りつかれてしまった事もあります。

 オメガの30mmキャリバーが欲しくて、頼んであったのを見に行ったところ、丁度その時にご主人がしてみえた、英国空軍のオメガ(これも30mmキャリバーなんですが)に心奪われて、ムリを言って譲ってもらった事もあります。もちろんご主人が僕のために仕入れてくださった時計の方は、「ご縁がなくて・・。」というという事になりました。こんな事もあって、僕の所に来た時計を見るたびに、「ご縁だなぁ・・・。」とつくづく思うのです。

 さて僕の2人の息子達がしているのは、カシオのG−ショック。僕にとっては1本1本、思い入れのある時計たちですが、彼らにとっては何の魅力ないようです。 縁あって僕の所に来た時計達は、この後どのようなご縁で、どなたの時計ケースに収まるのでしょうか。

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 懐中時計から腕時計に移っていったのは、第1次世界大戦の頃と言われています。ですから腕時計は戦争と同時に発達していったともいえるわけです。

 古時計の世界にも、「軍用時計」という一つのジャンルがあります。ステンレスの大ぶりのケース、黒い文字盤、フルアラビック(全数字)、手巻き、バンドの取り付けもバネ棒ではなく、固定されたままという、無骨一点張りの時計です。

 黒文字盤は視認性を高めるためとも、太陽の反射を防ぎ、敵に発見されにくくするためとも言われています。フルアラビックの文字盤は、もちろん読み間違いを少なくするためでしょう。これが老眼の始まった私には実に見やすく、ありがたい。

 手巻きは1日に一度巻き上げれば、1日は確実に動いてくれる(どのくらいゼンマイが巻き上がっているかわからない自動巻きは、思わぬときに止まっている事があります)、バネ棒を使わないのは、紛失を防ぐためでもあり、バンドが傷んだときでも、そのあたりの物で代用が効くからでしょう。

 面白い事に、イギリス軍などの戦勝国の軍用時計は割りと入手しやすいのに、 ドイツ軍などの敗戦国の軍用時計の入手は、かなり困難。持ち主が戦死してしまったり、生きて帰還したとしても、戦後食うに困って売ってしまったりしたためでしょうか。

 現代の戦争に思いを馳せると、湾岸戦争に参戦したアメリカ兵の腕には、カシオのG−ショックが巻かれていたそうです。アイスホッケーのパックにできるほど丈夫で、(そんなCMがあったそうです)、安価で、多機能という事から、大いにうなずけることではあります。さて現在イラクに派遣されている各国の兵士の腕には、どのような時計が巻かれているのでしょうか。

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  私のもう一つの趣味が、古時計の収集です。最初はポケット・ウオッチ(懐中時計)から入ったんですが、何と言ってもポケットは使い勝手が悪い。ってことで今は腕時計が主になっています。

 私は日常にドンドン使ってしまいますので、あまり古いものは、ちょっと抵抗がある。結果1950年代〜60年代のスイス腕時計の黄金期のものが多くなりました。

 その中でも一番好きで本数も多いのが、オメガ。オメガは市場に出回る数も多く、値もこなれていますが、実用にしてみると、実にバランスが良い。日差数秒の所まで追い込む事もできて、私の日常生活には十分過ぎるくらいの精度も得られます。

 また手巻きから自動巻きに移っていった時期の時計は、とても面白い。手巻きはポケット・ウオッチの時代にほぼ完成し、メーカーが違っても輪列の並び方は、ほぼ同じ。

 でも、手巻きから自動巻きへ移行した時代の自動巻きには、半回転の自動巻き、 全回転片方向の自動巻き、全回転両方向の自動巻きと、その時代の技術者が、よ り高い巻き上げ効率をめざして、知恵を絞ったあとが、垣間見えます。

 もちろん巻き上げ効率は、半回転よりは全回転の方が良いし、全回転でも片方向よりは両方向の方が良い。でも効率だけでは説明できない良さがあると、ひとり悦にいっています。

 時々患者さんで時計好きの方がみえると、診療はそこそこに時計の話で盛り上がってしまう事もあります。僕が一番ステキだと思うのは、身の丈にあった時計をしてみえる方。説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 古時計の収集

 つい最近、女性の患者さんが1970年代初め頃の物と思われる、男物のオメガのシー・マスターをしてみえました。思わず「良い時計してますねぇ。」と言うと、「父がくれたんです。」との事。「それはステキなプレゼントですね。お父様が買われた時、そのオメガは随分高かったはずですよ。」と、要らん薀蓄を 話してしまいました。

 その患者さんは30歳ちょっと前の方でしたので、お父様のプレゼントの時計 とほぼ同い年。お母様から結納返しに貰われたのか、娘さんのお誕生の記念に買われたのか、いずれにしてもステキな話ですね。

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プロフィールのところにも書いたように、私の趣味は自転車、スキー、古時計の収集、真空管アンプの製作などなどです。今回の話題は「私がいかにして自転車にとりつかれたか」です。

 昭和62年に長年お世話になった日大を辞し、名古屋に戻りました。その頃トライアスロンにはまっていた弟が、「ショップ主催のトライアスロンの体験会があるんだけど、ドクターとして来てくれない?」と、言ってきました。「どうせヒマだから・・・。」ということで、8月の第1週の日曜日、暑い中出かけた訳です。

 

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: トライアスロン それはインターナショナルタイプで、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmで、制限時間5時間というものでした。ドクターとして暑い中、5時間お付き合いしたんですが、「これは見てるより、やった方が面白そう」という事で、さっそく自転車を購入、翌年からこの体験会に参加するようになりました。

 「スイム1.5kmを1時間、バイク40kmを2時間、ラン10kmを1時間で走ればいい。」と取らぬタヌキの皮算用をしたんですが、その頃はまだ勤務医。3種目練習するのは結構大変でしたが、3〜4年はその体験会を目標に練習しました。

 その後ショップの都合で体験会は開催されなくなり、弟もトライアスロンから撤退、私もラン、スイムは辞めてしまいましたが、バイクだけは残ったわけです。


 さて日本で自転車というと、ママチャリを代表とする実用車が思い浮かびます。これは日本に自転車が入った時に、荷物運搬車として入ったからだと言われています。だから「あんなものに乗って何が面白いの?」ということになってしまうんですが・・・。

 でも面白いんですよ。自分の力で移動するってことは、実に面白い。もちろん楽ではありません。夏の暑い日、冬の寒い日なんぞに走っていると、「オレ、なんで好き好んでこんなことやってんだろう・・・。」と、思う事もしばしばだし、日曜日の天気予報が雨だと、「ああ、乗らなくても良いんだ。」と、ホッとする事もあります。それでも土曜日になると、「明日は乗れるぞ。」とワクワク・・・。日曜日には80〜100kmを4〜5時間程度かけて走ります。

 私の歳になると、若い人と競うなんて事は夢にも考えず、楽しんでいれば良い。でも凡人の性か、自分がどのくらいやれるのか知りたくなって、今年からシクロクロスを始めました。これは自転車を使ったクロスカントリーというものです。土や、ぬかるみのある森や河川敷で行われ、自転車で上がれない坂や階段は、自転車を押したり、担いだりして走ります。

 今シーズンは2レースに参戦しましたが、初戦となった富士見高原のレースはホンマ、えらかった(「疲れた」「しんどかった」の名古屋弁)。30分のレース、それも50歳以上のマスターズ・クラスでしたが、心臓が口から飛び出しそうになりました。レース中は「もう2度とやらない。やるものか。」と思っていたのに、レースの雰囲気の良さ、レース会場で知り合った若者の爽やかさ、レース終了後の安堵感などなどをもう一度味わいたくて、奈川村のレースにも出場、シクロクロスに獲り付かれてしまいました。

 来シーズンはシクロクロス・ミーティング全戦に参戦しようと、年甲斐もなく考えています。 

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説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 泌尿器科、皮膚科 野口クリニック

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