○フォングランフォンド福井2006参戦記
6月4日にグランフォンド゙福井2006に参加してきました。以下はその参戦記、53歳のオヤジが何を思って走ったか、どうぞ笑ってやってください。
○プロローグ
グランフォンドとはいわばスピードを重視したサイクリング、順位やタイムを競うことはありませんが、制限時間が設けられており他のサイクリングに比べるとそれなりのペースで走らないと足切りになってしまいます。そしていくつもの峠を越えるコースが設定され、イベント後半は「何が哀しくてこんなイベントに参加してしまったんだろう。」と、自問自答しながら走る結果となります。それが判っていながら昨年はグランフォンド福井(160km)、グランフォンド吉野(160km)、豊橋―富山サイクルマラソン(180km)、グランフォンド糸魚川(120km)と走ったんだから、バカもそうとうきわまってきています。
今年は雪が多かったことを言い訳に1〜3月は全く乗らず。4月になって走ったところ、サボったつけは体重、特にウエストにしっかり回ってきていて、ハンドルバーの上を握っても大腿が腹に当たってしまう・・・。焦りは焦りを呼び、十分に走りこまないうちに重いギヤを踏んで、膝をいためてしまって・・。2006年型モデルのエンジンは2005年型モデルのエンジンよりも確実に退化してしまっていました。
エンジンの退化を自覚したオヤジは、すぐ機材に走ります。某ホームページで評判の良かったレモン(アメリカのブランド)のカーボンとチタンのハイブリッドバイクを新調。それに前50x34、後ろ13〜29のギヤを装着。 去年までは見栄を張って前52x38で頑張ったんですが、この腹、この体重、この膝ではヘタすりゃ途中棄権の可能性もある。それだけはオヤジの意地(そんなものまだあったのか?)が許しません。ところがずっと鉄のフレームでやってきた僕には、最新仕様のバイクの乗り方がわからない。簡単にいうと鉄のバイクは多少撓る、その撓りを利用したペダリングをするわけですが(単なる「ガク踏み」ともいう)、最新のハイブリッドバイクはそういうペダリングではちっとも進まない。どうもモーターのようなペダリングを要求しているようです。それがわかっているのならこのバイクで練習すりゃ良いのに、ついつい鉄のピストにばっかり乗って、十分なポジショニングもできないまま・・・。
それでもイベントカレンダーを見ると、グランフォンド福井、グランフォンド吉野、グランフォンド糸魚川は絶対外せない。ってことでグランフォンド福井が今年の初戦となったわけです。去年は福井県勝山のジャムリゾートが開催場所だったので一泊しましたが、今年は今庄365スキー場が開催場所、まあ片道2時間半もあれば行くだろうと日帰りとしました。場数を踏んでくるとオヤジはこういうところが図々しくなりますな。まあ何とかなるだろう・・・。
○当日編
さて当日4時にディスカバリーで出発しました。ところがふと見ると消えなくてはいけないABSのマークがついているではありませんか。ブレーキのことはコワイ。でも9年も付き合ってくると、何となく大丈夫なような気がして(何の根拠もないんですがね)そのまま行くことにしました。名神に入ってしばらく走ったらマークは消えたので、ちょっとホッとするような、しないような・・・。
米原から北陸道に入って、トイレ休憩。イベントではトイレが混雑することが多いんです。敦賀ICで北陸道を降りて一路今庄365スキー場へ。ついたのは6時30分頃でした。手続きを済ましてゼッケンを貰い、愛機の準備をしてから、ポンコツエンジンにもエサをやりました。周りの人はストレッチしたり、その辺りを走ったりしてますが、オヤジは「今から160kmも走るんだから、焦ってもしかたない。」とノンビリ。ところが7時からの開会式でインフォメーションを聞いてビックリ。スタート直後はスキー場のゲレンデの中の林道を走るんだそうです。チラッと見たところ10%はらくにある。「これは多少アップしておかないとスタート直後で悶絶してしまう。」と、慌てて駐車場の中を自転車で走りました。
8時スタート。20人ずつの時間差スタートですが、運良く最初のグループに潜りこむことができました。最初から34x29でじわじわと上がっていきます。心拍計が140を越えないようにと思うんですが、もう160を打っています。「焦るな、焦るな、ゆっくり、ゆっくり」と自分に言い聞かせながら・・・。去年のグランフォンド吉野でスタート直後に調子に乗って飛ばしすぎて、ヒルクライムで押してしまった苦い経験が、「焦るな、ゆっくり、人生が必ず終わるように、この登りは必ず終わる。」と教えてくれます。
峠についてさあダウンヒル。でも僕はダウンヒルが苦手。後からスタートした人たちが、ビュンビュンと抜いていきますが、これはいつものこと。でもちょっと後ろの人を気にした隙に、落ちていた小石にゴツンと乗り上げてしまいました。「あぁパンクした!!」まだスタートしてから、15分も経っていません。イベントでパンクするのは初めてで、ちょっと焦りました。「落ち着いて、落ち着いて」と自分に言いきかせながら、タイヤを外してチューブ交換。念のためタイヤの裏側も指で触ってみましたが、何もない。やはりスネークバイト(石とリムの間にチューブが挟まってパンクすること)だったようです。タイヤのビートを入れる時も、タイヤレバーを使わないで入れることができました。ヘタに焦ってタイヤレバーを使うと、換えたばかりのチューブに傷をつけてしまうことがあるんです。CO2ボンベでエアを充填してホイールを自転車にセット。この間10分ほどでしたが、随分長く感じました。地面に忘れ物がないことを確認、再スタート。
10分のロスは実はかなり痛い。どんなに頑張っても絶対に追いつけないロスです。たくさんの人に追い抜かれたことは気にしないつもり。でもやっぱり焦っていたんでしょうか、心拍が160から下がりません。いつもの鼻歌ペースは心拍120〜130ですが、どうやってもこの心拍には落ちない。「それでは」と、鼻歌を歌いながら走ってみたところ、心拍140でも鼻歌が歌えるじゃありませんか。周りの人に引きずられて、自分の本来のパフォーマンス以上の事が最初はできてしまう、最後までこのパフォーマンスで行ければ良いんですが、絶対に後でつけが回ってくる、これがグランフォンドというイベントの怖いところです。仕方ないので150以上にはあげないで行くことにしました(でも峠越えの時には170を越してました)。
さて今回のコースですが、お暇な方は地図でも見ながら読んでください。今庄365スキー場から木の芽峠を越えて365号線に入り、栃の木峠、椿坂峠を越えて琵琶湖の北岸にでます。そこから賎が岳トンネルを越えて奥琵琶湖パークウエイを通って海津に出、そこから161号を通って国境スキー場を越し、岡山町から佐田に入り、敦賀半島の西側に出ます。水晶浜から33号に入り馬背峠を越えて敦賀半島の東(敦賀湾)に出て、立石岬まで走り、そこで折り返して敦賀市内を走り、476号線を通って今庄365スキー場に戻るという160kmのコースです。山あり、湖あり、海ありという実にバラエティに富んだコースですが、まあ景色を見ている余裕なんてのはほとんどありませんな。
パンク以降は鼻歌が歌えるペースをなるべく守るようにして走ります。こういうイベントだと集団走行(一列縦隊になってペースをあげて走ること。単独で走るよりも5〜8kmくらいは速く走れる。特急列車ともいう)が、醍醐味なんですが、それも今回は自分に封印しています。とにかく自分のペースで完走することを目標に、ゆっくり、ゆっくり。でもこうやって走ると、日本というのは山あり、谷あり、田んぼありで、本当にきれいな国ですね。
さて僕はトンネルが大嫌いで、自分が練習で走るコースにはトンネルがありません。でもこういう山岳を舞台にしたイベントでは、どうしてもいくつかのトンネルを通らなくてはいけない。そういうときには誰か来るのを待ってでも、誰かと一緒に走るようにしています。集団で走っていれば車も多少は注意してくれますからね。賎が岳トンネルには、丁度脚の合った人と3人で入ることができました。このトンネルには割と広い歩道があって、そこを走ることができて、いつものような車に対する恐怖はありません。でも途中で歩道が切れ込んでいるところがあって、そこで数人が車道にそのまま落ちたらしくうずくまっていました。外はカンカンの陽射しでそれにあわせたサングラスをしていますから、トンネル内ではホントに見えない。ルールでライトをつけてはいますが、蛍の光みたいな物で、精々ポジションランプくらいの役にしかたちません。パンク修理に要した10分のロスがなければ、僕がブチ落ちていたかもしれません。そうなるとパンクですんで良かったと思えるから、人間は勝手なものです。「禍福はあざなえる縄の如し」とツマランことを思いながら、琵琶湖にでました。
琵琶湖を左に見ながら走ることしばし、大浦というところに最初のエイドステーションがありました。ここでサインシートにサインして、おにぎりとバナナと羊羹を頂き、水の補給をしました。去年のグランフォンドでは自販機もコンビニもないところで水を切らし、ホント苦しんだので、今年はしっかりダブルボトル。幸い今日の気温は25〜28度とむちゃくちゃ暑いわけではないので、水切れで苦しむことはなさそうです。食べ物がなくても走れますが、水がないと走れません.。
海津から161号を敦賀に向かってさかのぼります。途中の国境スキー場が一つのピーク。快適なダウンヒルをこなして、敦賀に出た後、敦賀半島を横断して敦賀半島に西側に出ました。海の色が本当にきれいでした。水晶浜の第2エイドで、おにぎりとバナナと水を補給。この頃になるとボチボチ疲れも溜まってきて、食欲は余りありません。でも食べないと持たないと、無理に押し込みました。それから馬背峠をこえてもう一度敦賀半島を横断、敦賀湾にでました。そこから立石岬までを往復するのですが、ここが精神的にも肉体的にも一番辛かった。僕が往路を走っているのに、向こうから速い人が帰ってくるので、ついつい「速く、速く」と焦ってしまう。海沿いの道とはいえ、結構アップダウンもあって、心拍も上がりっぱなし。
でも海沿いの道は絶景。漁船やヨットを見ながら走り、立石岬で折り返し。まだ往路を走っている人を見ながらの復路は気楽ですね。でも「あとどのくらいですか。」と訊かれることがしばしばあって困りました。距離がわかるわけでもないし、脚によって時間も変わりますから。
敦賀市に戻って、最後のエイドステーションでサイン。あと15kmということだったので、バナナと水だけ補給。でも最後の15kmが辛かった。だらだらとした登りが延々と続くのです。この頃になると各参加者の脚の差が出てきます。午後の2時ごろで暑さもピーク。降りて押している人、道端で座り込んでいる人、蛇登りをしている人などなど。早くゴールに着きたいという気持ちを押さえて、頭にボトルの水をかけながら、ジワジワ、ジワジワ・・・。スキー場への最後の登りは、10%を越す急坂でしたが、何とか押さずにゴール。2時30分頃でした。実走約6時間、アヴェ約24kmでした。
○エピローグ
サインシートに最後のサインをして、ドリンクを貰いました。入浴券も貰っているし、フェアウエル・パーティもあるんですが、貧乏性のオヤジはついつい明日の仕事のことを考えてしまいます。風呂とビールは自宅まで我慢することにして、水で顔を洗い、車の陰で着替えを済ませて戻ることにしました。
帰り道でまだ走っている選手とすれ違いました。木の芽トンネルの中ではランプを点滅させながら走っている選手も何人か。何とか乗っている選手もヘロヘロで前を見ていられない、押して歩いている選手も真っ赤な顔、道端で座り込んでいる選手も何人も。それは1時間ほど前の僕の姿、グランフォンドでは最後の10〜20kmが本当にきつくてツライ。彼らの辛さがわかるだけに声がかけられません。
名神で事故渋滞に巻き込まれましたが、6時前には自宅に着きました。
パンクはしたものの、アヴェ24kmはまあ満足な結果でした。いつもの練習コースではアヴェは精々21キロくらいですから、それだけ楽なコースだったとも言えるわけです。いくつもの峠を越えましたが、にっちもさっちもいかないというほどの峠ではありませんでした。でも体にはそれなりにインパクトがあったようで、まだあっちこっちが痛いです。
さて、「なんで走るの」といわれても「よぅ判らん。」としか言いようがありません。ロクに練習もしてないんだから、練習の成果を試したいわけでもないし、自分の限界を知りたいわけでもない。完走できたという事は、自分の限界はもっと高いところにあるということですからね。もちろんあえてつらい思いをしたいわけでもありません。確かに知らない土地を走るのは楽しいけど、そうそう景色を楽しんでいる余裕もない。同じ趣味の仲間との語らいは楽しいけど、一旦スタートしてしまえば話をしている余裕はなく、精々ゴール後にちょっとおしゃべりするぐらいです。これを走ると何かが見えるとか、違った自分になれるなどと甘いことを思っているわけでもない。ただ走っている時は雑事を考えていないことだけは確か、とにかくひたすら自分の身体だけと話し合いをしているとは言えるようです。
次は7月23日のグランフォンド吉野180km。暑さと急坂に苦しめられることになるでしょうが、信仰の山、吉野で仏に逢えるか?とにかく楽しんでくるつもりです。
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